教員リレーエッセイ:「妖怪ウォッチ」とカウンセリング、そしてポケモン
こども心理学科の教員リレーエッセイを2016年7月より再開しました。今回は、藤掛明先生のエッセイです。
「妖怪ウォッチ」とカウンセリング、そしてポケモン
数年前から、こどもたちに人気のあった「妖怪ウォッチ」。 ゲームソフトで始まり、コミック、TVアニメ、関連グッズと快進撃が進む。
物語は、 不思議な時計を手に入れた少年ケータが、日常に潜む 妖怪と仲間になりさまざまな問題を解決していく……というもの。
ここで登場する妖怪をすこし紹介する。
「ヒキコモリ」
人を、ひきこもりにさせる妖怪。現代社会で急激に力をつけている強敵。
「ドンヨリーヌ」
場の空気を悪くさせてしまう妖怪。本来夫婦仲の良い両親が喧嘩をするのもこの妖怪のしわざ。
こどもたちが、日常で遭遇するネガティブな現象を、当事者の問題と考えず、あたかも別の問題者が外在すると考える設定。これは家族療法の、「外在化」の技法と一致する。
たとえば、こどもがおもらしを繰り返すとする。そのおもらしをするのは当の本人なのだが、そうは考えず、おもらしをする架空の虫がいて、その虫の活動を観察したり、飼い慣らす方法を考えたりしていくというもの。第三者化(外在化)することで、起きている現象を、冷静に(安全に)考えることができるという治療的戦略である。
このように「妖怪ウォッチ」は、人の心の暗部を、こどもたちなりに直視し、安心して考える仕組みを持っている。ポケモンが成長とパワーの世界であったことと対比すると、似ていながら、こちらは、内省と癒しの世界である。
( こども心理学科准教授 藤掛明 )

そのほか、埼玉新聞掲載「経世済民」でも、こども心理学科教員の記事が読めます
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