AH報告レポート:欧米文化学科講演会「ヨーロッパの人種観」
報告レポート
2023年2月24日更新
2023年1月25日のアセンブリアワーにて、欧米文化学科主催の特別講演会「ヨーロッパの人種観」が開催されました。
本講演会では講師として武蔵大学人文学部教授の平野千果子氏(専門分野:フランス植民地史)をお招きし、日頃よく耳にする「人種」がどのように誕生し、それを人々がどうやって扱ってきたのかをお話しされました。
講演では初めに「人種」という概念について言及し、「人種」概念が社会的に作られてきたものと説明。
これを踏まえた上で、啓蒙の世紀のヨーロッパにおいて、「科学」の名のもとにどのようにして人間が「人種」として分類されてきたのかを複数の学者の研究をもとに解説。そしてその分類には意図の有無に関わらず序列が生じてしまうと指摘しました。
講演の後半では言語の分類が「人種」に適用されたケースや、言語による「人種」の分類が反ユダヤ主義に繋がったことをお話しされました。
最後には善意から発した発言が人種差別に繋がってしまっているマイクロアグレッションの紹介や、「人種」の問題がジェンダーの問題に繋がっているということ、日本における例などに言及し、人種差別の現在の実態や影響について紹介しました。
講師プロフィール
- 武蔵大学人文学部教授
- 博士(地域研究、 上智大学)
- 専門分野:フランス植民地史
- 主要著作: 『人種主義の歴史』(岩波新書)、『フランス植民地主義と歴史認識』(岩波書店)、『フランス植民地主義の歴史』(人文書院)など
大学ではヨーロッパの対外交流の歴史を講義。ゼミでは「人種」やジェンダーをテーマとしている。