2019年度 第3回「人間回復への道~ハンセン病から学ぶ~」【報告レポート】

ハンセン病勉強会と資料館見学会の報告レポートです(主催:心理福祉学科・人間福祉学科/ボランティア活動支援センター)

ハンセン病勉強会と資料館見学会

ハンセン病は感染力が弱く非常にうつりにくい病気です。しかし、治療薬がない時代には変形をおこしやすいことから、主に外見が大きな理由となり社会から嫌われてきました。強制的に療養所に入れられた患者は外出を禁止され、隔離されてきました。第二次世界大戦後、完治する治療薬が登場しても、実質的に隔離状態に置かれ続けました。近年になって、この隔離状態は解かれ、元患者は社会復帰の道が開かれていますが、今も世間の無理解や偏見が続いています。

「人に偏見を持ち差別をする」といった過ちを起こさないためにも、この歴史を「他人事ではなく、自分たちの問題」として捉え直し、社会の課題と向き合い考える時間を持ちたいと、心理や福祉を学ぶ学生やソーシャルワーカーを目指す学生たちを中心に、勉強会と資料館見学会が行われました。

【スケジュール】

  • 1日目(映画鑑賞)
    7月15日(月)18:00〜20:30
    関連映画の上映
  • 2日目(勉強会)
    7月16日(火)12:15〜12:55
    講師 心理福祉学科長 田村 綾子先生
    心理福祉学部チャプレン 五十嵐成見先生
  • 3日目(見学会)
    9月27日(金)12:50〜17:00
    場所:多磨全生園国立ハンセン病資料館 (東京都東村山市)
    ハンセン病資料館の見学と多磨全生園の散策後、回復者の方にお話を伺いました

見学会の様子

9月27日、東京都東村山市にある国立ハンセン病資料館見学会が実施され、16名の学生と5名の教職員が参加しました。

資料館見学だけではなく、療養所である多磨全生園内の見学も行いました。全生園の見学にあたっては、ハンセン病回復者の人権運動に関われている、元・聖学院中学高等学校の西浦教諭にご案内いただきました。

そして最後に、食事処なごみにて、ハンセン病回復者の森元美代治さんに、ご自身の半生を語っていただきました。様々な出来事の話に学生たちは時にショックを受けつつも真剣に耳を傾けていました。森元さんの言葉に触れ、自分たちは仲間たちとどんな未来を描いていくのかを考える貴重なきっかけをいただきました。

参加した学生の感想

  • 勉強会や見学会に参加するまで「ハンセン病」という言葉さえ知らなかった。若い世代ではそういう人も多いのではないか。偏見や差別をなくすには、まず「知ること」が大事だと改めて考えさせられた。
  • 夏休みに中国へ帰国して両親に中国でのハンセン病のことも聞いてきたがやはり偏見や差別があった。森元さんにお会いすることが最初は怖いと思っていたが、会ってみてまったく怖くなくて人々の差別や偏見のない社会を作りたいと思った。
  • 資料館の展示物やその説明からはハッピーな状況が全く感じられず、当時の人々が肩身の狭い思いをしていたことを感じ、見ていて悲しくなった。
  • 一番印象に残ったのは、森元さんの家族親戚が事情を知ったうえで受け入れてくれた時の話をきけたことで、感動しました。自分もこうありたいと思ったし、一人ひとりがこの気持ちを持てれば今でも差別のあるこの状態を変えられるのではないかと思った。
  • 納骨堂などを見て、見学会の場にいることが苦手だなと感じてしまうこと、自分にも偏見があることに気づかされた。自分の意見がうまく言えなかったときに森元さんに助けていただいて、本当にいい経験になったと思う。
  • 見学会に参加できなかったが、参加者の報告を聞き、当事者だけでなくその家族もつらい思いにあることを知った。本当の差別解消とは国が法律を定めるだけでなく、一人ひとりが病気についてしっかりと理解を深めることが一番必要だと考えることができた。

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