AH報告レポート:子ども教育学科名称変更記念講演会「言葉にならない思いを汲むこと~“子どもの心が動く“こと~」

子ども教育学科名称変更記念講演会「言葉にならない思いを汲むこと~“子どもの心が動く“こと~」

2023年6月16日更新

今年度、子ども教育学科では「言葉にならない思いを汲むこと」を共通テーマとして名称変更*記念講演会が2回にわたって開催されます。
5月31日(水)の第1回目は「"子どもの心が動く"こと」というタイトルで聖学院みどり幼稚園の主幹教諭であり、聖学院大学児童学科*の卒業生でもある国府田 郁絵 先生を講師として迎えました。

*2023年4月より児童学科から子ども教育学科へ名称変更


国府田先生は「子どもの心を大切にしてくれる人が一人でも増えてほしい」という想いのもと、どうして子どもに興味を持ち幼稚園教諭になったのか、幼稚園教諭になってからの実体験や、みどり幼稚園で子どもたちがどのように過ごしているのかなどのエピソードを紹介し、幼稚園教諭としての経験から得た気づきや思いについてお話しくださりました。

当日は子ども教育学科の1~4年生や教員のほか、みどり幼稚園の保護者も多く参加し、子どもの気持ちに寄り添い、成長に繋げていくことについて深く考える時間となりました。

講演会の最後には質疑応答の時間があり、「子ども同士のトラブルがあったとき、一方が謝っても相手の子の気持ちがまだ治まらないときはどうするか」という学生からの質問に対して「その時にすべてを解決する必要はない。仲介役に徹して相手の子の心が動くのを一緒に待つ」と答えていました。

聖学院みどり幼稚園について

「子どもには自らを成長させる力がある」という考え方から、あそびを中心とした保育を行っています。保育者は子ども一人ひとりをしっかり観察し、今どういう状態で、何がしたいのか、どういう気持ちなのか「心の動き」をきちんと把握し、物、場所、人など、環境を設定し整え、遊びの時間をカリキュラム化しています。

講演内容(一部抜粋)

  • 大人は子どもに対して「こうした方がうまくいく」というプラスの感覚を持って援助しがち。その感覚をどう動かすかは子ども次第。
  • 子どもは自分の心を動かしながら相手の心も知り、成長していく。
  • 子どもを理解しようとする際に、大事なことは「understand」。出来ないことをできるようにしてあげる。という意識ではなく、子どもを下から(under)、理解する(stand)するということ。その支えどころを見つける視点が重要。
  • これを確かめたい、あれを使いたい、この人と遊びたい。本当にそうしたいと思う遊びの課程で子どもたちの心は動き出し、躓いても工夫し、葛藤しても受け入れようとする力に代わっていく。
  • 子どもを変えるのではなく、まず大人自身が変わろうとしてみる。
  • 大人が今何をしたいか、何をしてほしいかは後回し。「どうして泣いているの?」と聞いたその時点で、大人の側に寄せている。
  • 「子どもになにかをしてあげる」ことが「寄り添う」ということではない。
  • 子どもの心は、「子ども自身」が動かす

学生の感想(一部紹介)

  • 何かをする時、子どもを動かす、変えるのではなく、大人が変わるということ、本当にそうだなと感じました。大人は経験をたくさんしてきているので見通しが持てます。しかし子どもは体験すること・経験することが初めてというものが多いです。大人が大人としての見方で枠を子どもにあてはめて声を掛けること・関わることは、してはいけないなと思いました。一番大切なのは子供が心地よく過ごせることだと考えます。心地よさを感じられた時、その上にやりたいことに挑戦する力が出てきたり、学びがあったりしていくと思います。(子ども教育学科3年)
  • 私は小・特希望で、幼稚園の子どもと関わる機会が少ないので、今回のAHはとても貴重な時間でした。子どもの考えていることは一人一人違い、その一人一人が楽しいと思えること、やりたいと思える環境を保育者が作り上げていくことが重要だと感じました。(子ども教育学科3年)
  • 活動の一つ一つ、保育者が満足しているだけでは子どものためにはならず、その活動に参加をしている子はどうその活動を見ているのか、きちんと考えることが保育者の責任であると知りました。子どもがこれから、様々な経験を通して、それぞれ多種多様なスピードで成長していくその道を、保育者の手で支えるという意味で開いてあげること、子どもの進みを尊重し、つまづいたら後ろから支えてあげること、子どもの素直な思いを真正面から受け止め、応えてあげようとすること、これが保育者にとって求められる保育者の在り方だと分かりました。失敗を恐れず、それを学びの種にできるような人になりたいです。(子ども教育学科3年)
  • 今回、国府田先生の講演会でお話を聞いて、子どもたちと関わる時の自分の考え方を改める必要があると思いました。「子どもが変わるのではなく、大人が変わっていく」という言葉がとても印象に残りました。大人が言ってしまう「ダメ」という言葉は本当にしてはならないことなのかと問いかけられた時に、私たちは大人になってしまったから、それが普通やルールだからというもので片づけてしまいます。しかし、大人のものさしでばかりで子どもたちと関わってしまっては子どもの心の動きをとらえていくことは難しいと考えます。私はこれから、子どもの心の動きに寄り添うことができる保育者になるために、援助や言葉がけをする前にしっかり考え行動に移したいと思いました。(子ども教育学科4年)
  • 子どもの「支え所を見つける」という言葉がとても印象に残りました。子どもと関わっていく中で、ついつい干渉し過ぎてしまうことが自身の経験上よくありました。「自分が支えたい」という気持ちももちろん大切ですが、今回のお話を聞いて、手をさしのべるべき場面とそっと見守るべき場面があるということがよくわかりました。(子ども教育学科4年)

当日の様子(写真アルバム)

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