ヴェリタス

ミッション系大学ならではの名称の由来や、校章、校歌など、聖学院大学にまつわるエピソードをご紹介します。

ヴェリタス

Quied est veritas?(真理とは何であるか?)─Est vir quiadest.(あなたの前にいるものがそれです)

 ヴェリタスとはラテン語で「真理」を意味することばです。ヨハネによる福音書では、イエスはご自身を「良い羊飼い」(10.11)、「復活、命」 (11.25)、「道、真理、命」(14.6)などといっています。ピラトは裁判の席でイエスに「ユダヤ人の王か(18.33)」と尋ねられましたが、 「わたしが王であることは、あなたの言っていることである。わたしは、真理について証するために生まれ、また、そのためにこの世に来た。…」と答えられる と、「真理とは何か」と尋ねました(18.37-38)。この裁判では、イエスとピラトが何語で言葉を交わしたのかは分かりません。しかし、ピラトが「真 理」という言葉をローマ人として、「Veritas」と聞き取ったことは明らかではないでしょうか。

2013年ヴェリタス祭実行委員たち
2013年ヴェリタス祭実行委員たち

 一般に「学園祭」とか「大学祭」、「文化祭」などと様々な呼び名で行われる催しは、学生の皆さんが主体となって様々な趣好を凝らし、またいろいろな計画やプログラムを盛りだくさんに準備し、外部からも卒業生は勿論、近隣の方々や学生、教職員の家族など多くの人を招いて楽しむという年に一度の大イベントと言えるものでしょう。私たちの大学ではこれを「ヴェリタス祭」と呼んでいます。「ヴェリタス」とは「真理」ということですから、見方によってはたいへんにいかめしい名前をつけたものだ、と思われるかも知れません。おそらくどこの学園祭においても、文化の香り高いプログラムとして講演やシンポや研究発表などもありますが、しかし何よりも一番人気があるのは、音楽や芸能人を招いての催しや食べもの、飲みものなどの模擬店ではないでしょうか。しかし、聖学院大学では「真理の探究」が人類普遍の価値であり、大学の使命であることを、自覚的に学内のみならず、大学が関わる全ての方々に発信したいとの願いをもってきました。

 被造物である人間が本当に人間らしく自由に生きるためには、神の愛を確信し、素直な心、誠実な態度で常に努力する姿勢が大切です。また、真理を得ようと望む時、祈りのうちに心の清らかさを保ち、それを日常から高めることが必要となります。そして、人類全体の幸福を実現するためには、一人ひとりが平和を求める心で隣人愛にめざめ、お互いに助け合う心をもつことが求められています。聖学院大学では日々の教育研究活動を通して、また学園祭という場を用いてこのような人生観、世界観を、広くこの世の中に発信していきたいと考えています。