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より健康な環境づくりを目指して
齊藤理砂子先生

こども心理学科 齊藤理砂子

●一緒なら頑張れる?!
 自分ひとりではできなかったけれど、一緒だと成し遂げられた!というような経験はありませんか。
 たとえば、運動を例にあげます。「適切な運動は、健康の保持増進のために大切である」ということは、みなさんもご存知の通りだと思います。また、効果的な運動方法についても、本やインターネットなどで調べればすぐにわかりますよね。では、健康のために毎日ジョギングをする!と、目標を立てたとして、実際には毎日続けられますか? もちろん、続けられる人もいると思いますが、いざはじめてみると、3日しか続かなかった…という人も多いのではないでしょうか。運動は健康に良い!と頭では理解していても、実際に行動に結びつけるのは難しいものです。このように、健康に関する知識やスキルがあっても目的とする行動変容が起こりにくいことがあります。でも、家族や友人、大切な人からの励ましの言葉があったり、景色の良いジョギングコースが家の近くにあるなどの物理的な環境があったりすると、自分ひとりではできなかったことでも成し遂げられることがあります。

●ヘルスプロモーションの考え方
 健康を保持増進していくための重要な概念として、ヘルスプロモーションがあります。ヘルスプロモーションとは、世界保健機関によって「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義づけられています。健康をコントロールし、改善するのは個人ですが、それをできるようにするためには、社会が支えていく必要があるという考え方がヘルスプロモーションにはあります。これは、時代に沿った健康課題の変化とともに健康づくり活動の考え方も変わり、健康を保持増進していくためには、個人の生活改善の努力だけではなく、様々な環境の改善も重要であると認識されたからです。

●健康な環境をみんなでつくりあげていこう!
 ヘルスプロモーションは、健康の保持増進のために、「みんなで環境を変えていこう」という方法への転換です。世界保健機関は、ヘルスプロモーションを進めていく上で、1.健康な公共政策づくり、2.健康を支援する環境づくり、3.地域活動の強化、4.個人技術の開発、5.ヘルスサービスの方向転換の5点をあげています。
 例えば、子どもたちの体力向上を目指した健康づくり活動を考えるならば、子どもたちが安心して外で遊べる公共政策づくりや安全な遊具、設備、衛生的な環境の維持などの健康を支援する環境づくりが求められると思います。また、地域住民とのつながりや交流、支援なども重要になるでしょう。
 このように、現代を生きる子どもたち、私たちが、より健康で明るく元気な生活を送れるようにするためには、どのような支援、環境づくりが求められるのか、今後とも考えていく必要があります。より健康な環境づくりについて、一緒に考えてみませんか。

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