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できることをしよう
できることをしよう

 2012年12月、メジャーリーグの松井秀喜選手が引退を表明しました。「ゴジラ」こと松井選手といえば、野球に詳しくない人でも名前は聞いたことのある有名な野球選手ではないでしょうか。

 松井選手は、日本では巨人、アメリカではニューヨーク・ヤンキースでプレイをし、数々の輝かしい記録を残してきました。しかし、彼は途中から怪我に苦しみだし、手術とリハビリを重ね、また第一線で活躍できるようになるまで本当に大変な思いをしました。その苦労が実って、2009年には日本人初のワールドシリーズMVPをとりました。

 松井選手の本「信念を貫く」には、次のように書かれています。
『自分がコントロールできることとできないことを分けて考えなければいけません。そしてコントロールできることについては、結果につなげるべく努力をします。』
今までほとんど大きな怪我なく順調に試合に出続けてきた松井選手。それが手首や膝を立て続けに怪我してしまって、試合に出られなくなったときに、「良いバッティングをすることは自分がコントロールできることだけど、試合に出られるか出られないかは監督が決めることで自分がコントロールできることではない。だから自分が試合に出ると決まったときに、良いバッティングをすることができるように努力する」と歩みを止めなかったわけです。

 「それは、松井みたいなすごい選手だからできることだよ」と言ってしまうのは簡単なことですが、それこそ自分のできることまで放棄してしまっていませんか?

 引退会見のインタビューの中で、一番印象に残っている出来事を聞かれて、「巨人で日本一になったこと」でもなく、「メジャーで地区優勝したこと」でもなく、「MVPをとったこと」でもなく、「長島監督と素振りをしたこと」とあげていたのは、松井選手らしいなぁと思いました。あの時間があったから今の自分がいるってことを、心から感じているのでしょうね。

 「努力は報われる」とか「願っていれば夢はかなう」なんて、今の時代、死語なのではないかと思ってしまいますが、やっぱりがんばることって意味があるのではないかなと思います。

 もちろんみんなが「松井選手」になれるわけではありません。でも今のあなたが、自分のいるところで、ほんのちょっとがんばれることってありませんか? できることをしてみましょうよ!

(by りこ)

(推薦文献)
松井秀樹著 『信念を貫く』新潮新書(2010)

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