東北やこれからの未来のために自分たちにできることは何か

聖学院大学は震災直後から東日本大震災の復興活動を行なっています。
10月9日(水)には、東日本大震災を経た新たなコミュニティづくりをテーマにした講演会「東日本大震災から仲間と共に未来をひらく」を開催。震災遺構大川小学校へは2018年からボランティアスタディツアーとして年1,2回訪れ、継続的な活動を通して、震災、復興とコミュニティ再生などの学びを深めています。
本学は、様々な活動を通じ、学生一人ひとりが災害や自分と向き合いながら、他者を思い行動する力を育む支援を積極的に行っています。

2024年10月9日(水)聖学院大学チャペルにて、講演会「東日本大震災から仲間と共に未来をひらく~新たなコミュニティづくりへの挑戦」が開催されました。
講師として、「Team大川 未来を拓くネットワーク代表」只野哲也氏とその顧問である佐藤秀明氏をお招きし、自身の被災体験や被災した子どもたちへの支援について、そして同団体の活動、今後の展望についてお話いただきました。
本講演は、聖学院大学政治経済学部とボランティア活動支援センターの企画です。感謝状セレモニー、講演会、パイプオルガン演奏の3部構成で実施され、学生から一般の方まで多くの聴衆が集まりました。

只野氏よりご提案-感謝の思いを伝えたい-

本講演会は、これまでの“未来をひらく仲間”としての関わりについての感謝を伝えたいという只野氏からのご提案で実現。只野氏と本学との繋がりは、2019年に埼玉県防災学習センターで開催したボランティアサミットがきっかけとなり、以後連携を続けています。
講演会の冒頭では、聖学院大学とボランティア活動支援センターに感謝状が贈呈されました。
感謝状を受け取った小池学長は挨拶のなかで、「お聞きした話を心に留めるのではなく、家族、友人に語っていただきたい。そして大変な思いから立ち上がった人々の姿がこのような形であることを伝えていただきたい。」と本講演の意義を述べられました。

大切なのは人と場所。子どもたちが未来を描いていけるように。

始めに、只野氏より震災時の出来事や、石巻市立大川小学校が震災遺構と認定されるまでの経緯が話されました。そして、子どもたちの生きた証を次世代へ継承していくために「Team大川-未来を拓くネットワーク-」を発足したこと、さらに、これまでの講演活動や現地ガイドなどの取り組みを紹介し、誰もが安心して帰ってくることのできる新たなコミュニティとその活動拠点づくりへの挑戦について語りました。
続いて同団体の顧問である佐藤氏は、「大学がボランティア活動センターを設置する役割」についての解説と、大学生へのメッセージとしてオカリナを演奏。
最後は、只野氏より「興味関心を抱いたところに足を運び、慣れたコミュニティを離れてみる。積極的に外に出てほしい。」と学生へエールが送られました。
講演会後、同団体学生会員 別所氏がパイプオルガンを演奏。私たち一人ひとりが東北での出来事を自分事として捉え、共に考える時間を持ち閉幕となりました。

おかえりプロジェクトin聖学院大学

同日、講演会後に1号館1Cafeにて「おかえりプロジェクトin聖学院大学」を開催しました。

「おかえりプロジェクト」は、Team大川-未来を拓くネットワーク-が2022年より震災遺構大川小学校で、震災で犠牲になった人の冥福を祈るとともに、地区の再生と未来を考えるイベントとして実施しており、本学学生も毎年ボランティアとして参加しています。

今年の夏も東北ボランティアスタディツアーのメインイベントとして参加予定でしたが、台風によるツアー中止・おかえりプロジェクトの延期により、ほとんどの学生たちは参加が叶いませんでした。しかし、学生たちの変わらない「現地に行けずとも、東北に想いを寄せる人々が集える場をつくりたい」という意思と、Team大川の全面協力により、大学でも「おかえりプロジェクト」を実施するに至りました。
参加者は現地で行われているイベント同様に、紙灯篭と蓮のランタンを囲みながら大川小学校の校歌とTeam大川が伝承のために作成した合唱曲「こころのつばさ」をともに歌い、交流を深めました。

只野氏からは、「大川小学校ではない場所でも「おかえりプロジェクト」はできるんだと、聖学院大学でやれたことで分かった。ここからまた、少しづつつながりを全国につなげていきたい。」という言葉をいただきました。

参加者のコメント

  • 正直、あの日に起きたことについて深く知ることが怖くて今まであまり目にしたり調べたりする事をしませんでした。今回、実際の経験やあの日にあったことについて聞かせていただく事が初めてで、今まで知ろうとしなかった事に後悔しました。震災によって被害を受けた人々がどんな気持ちでいるのかなどは理解しきる事は出来ないだろうし、分かってもらいたくない人も少なからずいるとは思いますが、私は知ろうとする事はできると思いました。それと同時に今ある命を大切に生きていこうと思うことができました。
  • 特に印象に残ったことは、校舎を残す決断のことです。住民の人から悲劇の場所という認識があり、校舎を残すことには反対だった方も多いと思います。しかし、只野さん達にとっては母校であり未来にこの経験を伝えていくためには残す必要があるのだと感じました。子どもたちに震災の記憶を伝えていくためには、校舎は必要不可欠でありその大川小学校の周りで子どもたちの笑顔を守る活動をすることに大きな意味があると感じました。
  • 講演会に参加する前は、震災の悲惨さやその後の対策について聞く会だと思っていました。しかし、只野さんの話を聞いていると、地域の復興への強い思いが伝わってきました。チーム大川の活動は、ゼミで学んでいる地域社会論に通じる部分が多いと感じました。災害危険区域に指定されていることや、地域の人々が離れてしまったことなど、非常に厳しい状況が重なっているため、難しい問題だと感じました。それでも、行動を起こし着実に成果を出している姿勢に、自分事として捉え主体性を持つことがとても大切だと感じました。

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