1994年にルワンダで発生した大量虐殺で傷を負った人々を支援する活動を行っているルダシングワ夫妻を講師として迎え、虐殺に至ったルワンダの歴史や現状、夫妻の取り組みについての講演会を実施。
本講演会を通し、ルワンダを軸とした世界の歴史や、ご夫妻が取り組むプロジェクトから平和を取り戻すための行動について学び、学生たちが「自分たちの問題」として主体的に考え行動できる力を高めることを狙いとしている。
2024年7月17日に政治経済学科の1年生を対象に講演会「平和な世界を構築するためにできること~大量虐殺を経験したアフリカ・ルワンダで活動するNGOから学ぶ~」が開催されました。
講師として、民族対立による虐殺が起こったルワンダで義足の製作や障がい者支援を行うガテラ・ルダシングワ、ルダシングワ・真美夫妻をお招きし、虐殺の歴史や夫妻の活動について講演いただきました。
講演ではガテラ・ルダシングワさんがスワヒリ語で話し、ルダシングワ・真美さんが日本語で伝えるという形式で行われました。
この講演会は政治経済学部、ボランティア活動支援センター、サステイナビリティセンターの共催事業として実施されました。
講演会の内容をお伝えします。
講演会の前半ではルワンダで生じた虐殺の歴史や経緯が紹介されました。
虐殺はベルギーとドイツによる植民地支配で行われた見た目や職による区別が要因であると説明されました。
元々ルワンダの人々の間に明確な民族の違いはありませんでしたが、ドイツとベルギーによる植民地支配によって、見た目や職業などにより区別が意識されるようになり、次第に対立が生じていったことが虐殺に繋がったと言います。
虐殺が起こった際やその後は復讐を恐れて国を離れる人なども少なくなく、国内は混乱しており、ルワンダはこの状況を解決すべく強制的に作られた民族を無くし、共存の道を歩み始めました。
虐殺の惨状を経験したルダシングワ夫妻はこの悲劇を2度と繰り返さないことを願い、1996年にムリンディ/ジャパン・ワンラブ・プロジェクトを発足させ、虐殺などで手足を失ったルワンダ人のために義足や義手を作って、無償で配布する活動を始めました。
当時は義足製作の技術を持った人はおらず、ルダシングワさんは日本に来てその技術を習得。資金の援助もありがたいが、技術の提供も大事であるといいます。
また、ルダシングワさん夫妻は義足の製作だけでなく、身体にコンプレックスを抱いてる人々に向けて障害者スポーツを行うなどして精神的な面での支援も行っているそうです。
ルダシングワさんの活動は事業所を自然災害の危険性から強制退去させられるなど常に安定したものではなかったといいます。
こうした経験を踏まえて夫妻は、困難な時には自分を奮い立たせることが必要で、また人に助けてもらうことは嫌らしいことではないと学生に伝えました。
最後に学生に「今勉強していることは世界が必要としていること。若いからこそできることは沢山あると思う。そして平和は未来を見つめること。未来を見つめてほしい。」と伝え、講演会は終了しました。
政治経済学科は通常の授業だけでなく、日本そして世界で今起きている問題をテーマに、社会の一線で活躍するジャーナリストや実務家、学者による講演会を多く行っています。
学生だけでなく、教職員および地域の住民も参加し、政治、外交、貧困、難民問題、ジャーナリズム、復興支援などさまざまな問題について考えます。
講演後に学生が講師に直接質問する機会などもあります。講師と双方向で意見を交わすことが、学びの楽しさに繋がります。