心理と福祉のどちらも学べる県内随一の心理福祉学科で、「やりたいこと、向いていること」を専門家と一緒にまだまだ悩もう!

医療、教育分野において臨床心理士・公認心理師として活動されている和氣大成先生に、ピアサポート研究者で精神保健福祉士の相川章子先生がインタビューしました。
公認心理師に今後の発展が望まれる大切なものは、実は福祉というすぐ「ま隣さん」が昔から追求していたことだった──和氣先生のマイテーマや研究していることに触れながら、心理と福祉の協働、両方学ぶことについてお話しいただきました。

医療、教育分野において臨床心理士・公認心理師として活動されている和氣大成先生に、ピアサポート研究者で精神保健福祉士の相川章子先生がインタビューしました。
公認心理師に今後の発展が望まれる大切なものは、実は福祉というすぐ「ま隣さん」が昔から追求していたことだった──和氣先生のマイテーマや研究していることに触れながら、心理と福祉の協働、両方学ぶことについてお話しいただきました。

心理職を目指した経緯、きっかけ

相川先生:
今日は私のほうからいくつか質問をしていきたいと思います。まず最初に、和氣先生は心理士でいらっしゃいますが、心理職を目指した経緯ときっかけについてお聞かせください。

和氣先生:
私がまだ小学校とか中学校のときの話ですが、祖母の病気や治療の様子を間近にみていたことがきっかけとなり、死や人生について考えるようになりました。大学を卒業して就職をするかしないかのときに友人との会話の中で初めて、心を考える専門家、臨床の仕事があることを知って、自分が興味があったことや言葉にできなかったことが結晶化した、という経緯があります。

相川先生:
そこから心理職を目指すプロセスが始まった、ということですね。

和氣先生:
実は就職の内定をいただいていて、そこは自分が実現したいことを考えられる場所だったので、大学院を目指すべきかとても悩みました。選択肢がたくさんあったのですが、心理職という仕事は自分自身の感じてきたことや経験してきたことを活かす仕事であると信じて、一度仕事に就いた後に、大学院を目指そうと思いました。

マイテーマは「限りある人生をどう生きていくか」──死ぬことと生きることを考える

相川先生:
大学院は留学をされたのですよね。

和氣先生:
仕事を辞めて、アメリカのハーバード大学で研究員をしていました。その後ボストンカレッジでトレーニングを受けました。

相川先生:
心理職を目指しながら、一方で死ぬことや生きることを考えるという、ご自身のテーマをずっと思いながら研究や臨床をされていたのですか?

和氣先生:
はい、研究や臨床といった取り組みの中でも、常に中心に「限りある人生、時間をどう生きるか」があり、軸になっています。幼少期から死ぬことや生きることを考えてきましたが、それらについて誰かと一緒に話す場や、誰かに教えてもらいたかったのだと思います。年齢や状況に関係なく話せる場所が作れたらいいなと考えてきました。

研究について

相川先生:
先生の研究テーマについて教えてください。

和氣先生:
具体的にはアルツハイマー病についてですが、近年、世界で初めて症状のスピードを抑える薬ができました。しかしながら、根本的に治すというところには至っていません。
現在は、健康な状態でアルツハイマー病の発症リスクが分かった場合、医学的対処の可能性がない、発症するリスクを健康な人が知っても絶望するだけではないかなど、その情報を本人に伝えるべきかどうかが議論されています。

相川先生:
先生のご専門の倫理的な問題ですよね。

和氣先生:
私としては、「限りある人生をどう生きていくか」について大事な情報であり、知りたいと思う方には知る権利があると思うので、それを倫理学的に根拠をつけていくということを今やっています。

相川先生:
いわゆるクオリティオブライフとか、生きているこの人生の質っていうことについて、先生は死というものとともに研究をしているということですね。

心理と福祉の協働、公認心理師が大切にすべきこととは

相川先生:
心理福祉学部においては、福祉という領域の研究者と一緒に仕事をしていることになりますが、その辺りはどう考えていらっしゃいますか?

和氣先生:
世界保健機構(WHO)が明確に示すように、新しい時代のメンタルヘルス・システムに求められているのは、間違いなく病院の外の「地域」における支援です。その実践的な支援法を身につけるには、福祉の視点と知見が絶対に不可欠です。

相川先生:
心理と福祉を一緒に学べる場に来たいと思ったきっかけについて教えてください。

和氣先生:
イタリアのゴリツィア、英国のセント・クリストファーズ・ホスピスなどを訪れ学びました。そこでは重い精神疾患を持った人や死にゆく人が街の中で生きる権利が守られています。権利を守るため社会の変化に働きかけることは、日本の心理の世界では少し孤独な感じがしていました。ところが、ま隣の領域である精神保健福祉では堂々と権利擁護を掲げていることにようやく気がつき、「一緒にやれば大声で叫ぶ必要がないんだ」と、いい意味で拍子抜けしました。ぜひこの場で、学生や教職員の皆さんと学んでいきたいと強く思いました。

相川先生:
権利擁護やスティグマなど、対峙している私たちソーシャルワーカーという職種に、親和性を感じていただいたということですね。

和氣先生:
英国ではリカバリーカレッジ、ピアサポート、パーソナルメディスン、社会的処方がますます盛んになっています。来るべき時代のメンタルヘルス・システムに関心のある皆さんと、「社会-心理-生物モデル」を一緒に考えていきたいです。

相川先生:
リカバリーカレッジ、ピアサポート、パーソナルメディスン、などは私が今研究している領域と重なるところで、福祉と心理という近接とはいえ異なる職種でありながら、とても近いところで研究したり関心をもったりしているのだと感じて、とても心強いです。

1つの学科で「心理」と「福祉」のダブルディグリー?受験生に向けてメッセージ

和氣先生:
自分の心とか、自分自身はどういう人だろうとか、周りの人に何か少しでも支援したい、助けになりたいと思ったときに、心理学や社会福祉学といった分野に、なんとなく興味を持つと思います。けれども一体どうやって進路を考えたり進めたらいいかわからない、私自身が高校生の時代を思い浮かべるとそうでした。

心理を学びたいのか、あるいは福祉を学びたいのか・・お伝えしたいのは、聖学院大学・心理福祉学科に来て、一緒に悩もうというということ。専門家である学科の先生方と一緒に悩める場所として、来てもらえたら嬉しいです。心理と福祉をこんなに専門的に学べるところは数少ないです、ほとんどダブルディグリーですね!

心理と福祉を両方学んだ学生のコメント

PROFILE心理福祉学科4年
井上なつみ

心理学と福祉学を学びたくて聖学院大学の心理福祉学科に入学しました。実際に両分野を学んでみて、過去に経験したことがある現象や行動が心理に関係していることや、ニュースなどで聞いたことがある制度や施設が福祉に関係しているといった、心理と福祉が身近な物事に密接に関係していたことに驚きました。また「悩みを抱えている人」への支援をする際に、心理の視点と福祉の視点で幅広く支援方法を考える力が身に付きました。