イベントレポート:公開講演会「サステイナブル・ファッション ~人と自然と衣服のつながり~」

イベントレポート

2023年5月12日更新

 2023年4月26日(水)にサステイナビリティ推進センターと政治経済学部の共催による公開講演会「サステイナブル・ファッション ~人と自然と衣服のつながり~」が開催されました。
 この講演会は、FASHION REVOLUTION WEEK*の一環として実施したもので、サステイナブル・ファッションに関する活発な取り組みをされている一般社団法人unisteps の共同代表、鎌田安里紗氏を講師にお招きしました。また、講演会の後半には、鎌田氏と本学の学生によるトークセッションが行われ、学生の疑問を一緒に考える時間となりました。

* 毎年424日を含む一週間(2023年は42229日)に設定されているファッション産業の問題を考える週間。世界各地で多くのイベントや啓発活動が行われている。

講演会にはおよそ100名の学生が参加しました
講演会にはおよそ100名の学生が参加しました

 鎌田氏の講演では、ファッション産業の問題への関心が高まったバングラデシュのラナプラザ・ビルの崩壊事故が紹介され、この事故を機に世界中でファッション産業の様々な問題に疑問を投じる「Who made my clothes?(私の服は誰が作ったの?)」などのムーブメントが発展したことが説明されました。ファッション産業の具体的な問題として、不当な労働環境やサプライチェーンの問題、大量生産・消費による環境汚染などがあり、企業は利益を上げるために価格競争をするが、その皺寄せは現場の労働者が背負っている、という搾取の構図が指摘されました。近年はこうした問題への取り組みや技術の発展により、ファッション産業の構造的な問題が可視化されるようになってきてはいますが、問題解決には程遠い状況であることも報告されました。

 また、鎌田氏から、私たちが今すぐにできるアクションとして、服がどのように作られたかを企業に問い合わせることや、服を長く着たり、着なくなった服を交換したりするなど、身近でできるサステイナブル・ファッションが紹介されました。鎌田氏は、服作りは多くの時間と人が関わり、環境への負荷も大きいものであり、消費者もそのプロセスをよく知ることが大切だと語られました。

学生とのトークセッション
学生とのトークセッション

 講演会の後半には、鎌田氏と学生4人によるトークセッションが行われました。学生から出された「サステイナブル・ファッションに関する活動で、大学生ができることは?」という問いに対し、鎌田氏が「住んでいる町の行政における古着回収の状況を調べ、住んでいる町が古着を回収していなければ行政に古着の回収をお願いしてみる」と提案されるなど、活発な意見交換が行われました。

参加した学生のコメント(抜粋)

  • 日本で作られている衣服は年々増えていると考えていたが逆に年々減っていることに驚いた。情報開示をしても企業の売り上げに直接繋がるわけではないから企業がやろうと思わない気持ちも分かるが今回の講話を聞いて多少値段を上げてでも情報開示をして欲しいと考える。 
  • SDGsと洋服に繋がりがあると考えたことがなかったので、新しく興味を持つことができて大変貴重な時間を持てて嬉しかったです。不要になった洋服やもう着れないあるいは着ない洋服を捨てるわけにもいかないし、正直お気に入りの洋服のほうが多かったので積極的にSDGsに繋がる方法で対処しようと新しい選択肢になりました。
  • 今回の話を聞いて思ったことは服を作ることはとても大変なことで普段自分たちが普通に服を着れていてその服を作っている裏側を知ることができた。服を作って働いてる人に対して最低賃金をしっかり支払なければいけないということ、ひとつの服をつくるのに25.5kgものco2が排出されていて働いてる人達の苦労や世界に及ぼす影響を知ることができた。

当日の様子(写真)

鎌田安里紗氏
鎌田安里紗氏
鎌田氏は、服が作られるプロセスを多くの人に知ってもらうために、綿花の栽培から服作りまでを参加者自身が体験する「服のたね」というプロジェクトも行っています
鎌田氏は、服が作られるプロセスを多くの人に知ってもらうために、綿花の栽培から服作りまでを参加者自身が体験する「服のたね」というプロジェクトも行っています
トークセッションで意見を交わす学生
トークセッションで意見を交わす学生
学生の質問に答える鎌田氏
学生の質問に答える鎌田氏

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