心理福祉学部シンポジウム【聖学院大学創立30周年記念】報告レポート

9月26日(水)「共生社会の実現に向けて私たちができること」と題して、心理福祉学部・人間福祉学部共催のシンポジウムを開催。

報告レポート

2018年9月26日(水)アセンブリアワーの時間に、「共生社会の実現に向けて私たちができること」と題して、心理福祉学部・人間福祉学部共催のシンポジウムが開催されました。

大学創立30周年を記念しての今回のシンポジウムでは、社会で活躍する卒業生、ボランティアに取り組む在学生と教員が、大学での学び・自分が考える理想と、社会の中での活動・実際の取り組みを通りして見えてくる現実などについて、「相談援助職の理想と現実」「自分が社会にできることと限界」という2つのサブテーマを設けてディスカッションをしました。

シンポジウム登壇者

  • 斉藤美咲さん
    2009年3月に本学人間福祉学科を卒業(社会福祉士取得)し、現在、横浜市役所で社会福祉職として活躍。市民からの電話相談に応じる「医療安全相談窓口」にも対応。どのような職務を担当しているかなど、学生に向けて語ってくださいました。
  • 朴献一さん
    こども心理学科4年生。朴さんは2011年より東日本大震災被災地、宮城県東松島市野蒜地区にて子供保養キャンプのスタッフとして現在に至るまで7年間、現地ボランティア活動を継続して行なっています。

  • 司会・コメンテータ
    中谷茂一[聖学院大学心理福祉学部教授]
    大橋 良枝[ 聖学院大学心理福祉学部教授]

テーマ「相談援助職の理想と現実」

まずは「相談援助職」がどういった職務なのか、斉藤さんが学生たちへ向けて事例をあげながら紹介してくださいました。斉藤さんは、社会福祉職として市民からの電話相談に応じる「医療安全相談窓口」にも対応されています。

相談者に寄り添いたい、力になりたいという思いや理想と、職務経験上わかってきた現実、そして相談援助職としてのあり方を、今も日々模索しているという現場ならではのお話を伺うことができました。

「相談者が感じている疑問について、相談者と一緒に知りたいことを整理していく。答えを導き出すためのアドバイスをする。学生の頃はわからなかったが、まずは相談者の気持ちを受け止めることが大切で、様々な事例に触れる中で【共感と同調】の違いについてわかってきた。」

テーマ「自分が社会にできることと限界」

朴さんが、まずは東日本大震災被災地、宮城県東松島市野蒜地区にて子供保養キャンプのボランティア活動を紹介しました。表面上はわからない、子どもたちへの震災の影響を感じることがあり、ボランティア団体に心のケアの知識を持っている専門家がいない現実や、その中で学生である自分に何ができるのかをずっと考えてきた、と語りました。

「子どもの心に寄り添うことはとても難しいこと。7年活動をしてきたが、すぐに実感できることでもないと思う。学生の自分は具体的なアドバイスや解決はできないが、先生でもない、家族でも友達でもない、ナナメの関係性だからこそのコミュニケーションで子どもが心の窓を開いてくれる瞬間があった。」

質疑応答では、フロアや登壇者から
・相談援助職をやっていて、ストレスはたまりませんか?
・ボランティアとして現地にとびこむバイタリティはどこからきている?
・自分が変わったと思ったきっかけはありますか?
などの質問が寄せられました。

受講学生の感想

*一部抜粋にてご紹介します

  • 理想や自分のしたいことだけでなく、限界などのマイナス面を聞くことでより職業の実態を意欲的に考えることができた。「気持ちの整理を手伝う」この言葉はこれからの友人関係や仕事をする際にも頭の中においていきたいと思った。
  • 非常に今の私にとって必要な話ばかりでした。利用者のお気持ちを「共感」するが「同調」はしないこと。さらに利用者さんと「共に」問題解決に励むことの2つが最重要ポイントだと感じました。
  • 事例を通してみてもやはり答えが一つではない問題がたくさんありました。継続的な支援、信頼関係の構築により、できることを増やしていきたいと思いました。

関連情報はこちら