報告レポート:2020年度絵本ワークショップ「絵本とからだの関係を考える」

報告レポート

2020年12月10日(木)

11月28日(土)、聖学院大学総合研究所・絵本研究会が主催する、2020年度絵本ワークショップ「絵本とからだの関係を考える」が開催されました。講師に、臨床発達心理士の春木豊先生をお迎えし、初のオンライン開催で実施しました。

コロナ禍において、マスクで顔の表情が隠れている状態でどのように表情は伝わるのか、目の前にいる人にかける声とオンラインの画面の向こうにいる人にかける声とを比べるとどのように異なるのか──この時期だからこそ、相手との隔たりにある自分のからだを感じてみること、絵本を通して対話とふれあいを楽しんでみることを、参加者の方々とご一緒に実践し考察するひとときとなりました。

ワークショップ概要

●対談

  • 臨床発達心理士 春木豊先生 × 人文学部児童学科准教授 寺﨑恵子先生

●実践1 『だっだぁ~』(ナムーラミチヨ作、主婦の友社、2010年)

(1)聴覚(声だけ)で絵本を参加者と体験する
(2)視覚と聴覚で赤ちゃんになったつもりで絵本を参加者と体験する
(3)感想発表

●実践2 『だっだぁ~』を読みあう

(1)絵本を読むかかわりあい(三項関係)の様子を観察する
(2)感想発表

●お話と体験

(1)姿勢、感覚統合理論、情動と大脳辺縁系の機能、愛着のシステム、感情の社会化、共同注意など、絵本とからだの関係に関する情報を学ぶ。
(2)体験(動作法)…肩に触れる/姿勢と声/揺れる巨体/呼吸/声の息づかいを感じる

* * * * *

実践ワークでは、隔たりにあっても相手とのふれあいに向かうからだを感じました。目を閉じると読む声を受ける姿勢になり、もっと見ようとすると前傾し、声の調子に応じて離れたり近寄ったりしてからだが自然に揺れました。聞き手と読み手が交差していった読みあいでは、ふたりの間にアイ・コンタクト (視・接触) が見られました。

遠い/近いの距離感を、わたしたちは、視覚や聴覚などの実感しやすい感覚でとらえますが、実感しにくい触感や体感で自分と相手の関係性を感じて、隔たりや分断の不安を乗りこえようとするようです。「絵本を読むことは、コミュニケーションになります」と述べた春木先生のことばが印象的でした。

参加者の感想

一部抜粋にてご紹介します。

  • 初めての zoom 講座、事前のテストがあったので、参加することができました。
    お二人の先生に加え、お子さんの登場により、絵本のもつ可能性の広さや大きさを具体的に知ることができました。絵本の魅力について、もっと学びたいと思いました。
  • 最近はいわゆる赤ちゃん向けの絵本を読むことがなくなっていましたが、日々の子どもとのコミュニケーションの隙間にこのような絵本を一緒に楽しみたいと思いました。
  • 春木先生のお話は、絵本の世界と心の動きと身体との繋がりを感じました。私の心のケアにもなりました。ありがとうございました。
  • 自分が今まで学んできたことを振り返る良い機会にもなりました。

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