【学長メッセージ】2020年度新入生の皆様へ

2020年度新入生の皆様へ、学長メッセージを動画とテキストで配信します(2020年4月1日付)

学長メッセージ

2020年度 新入生の皆様へ【学長メッセージ】

本年は、新型ウイルスの感染拡大により入学式を執り行うことができませんでしたが、本日入学する皆さんへ、清水正之学長の動画メッセージを配信いたします。

新入生のみなさんへ

2020年4月1日
聖学院大学 学長 清水正之

この度、聖学院大学に入学を果たした新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。そして大学院にご進学の皆さん、おめでとうございます。また入学生をこれまで見守ってこられた保護者の皆様にも、御入学おめでとうございますと申し上げます。
教員、職員、そして先輩の在校生とともに、皆さんの入学を心から祝福するとともに、聖学院大学の教職員・学生がともに創り出す学びの場、そして研究の場に、新しいメンバーとして加わってくれたことを心から歓迎します。

聖学院大学は今年、創立より32年目を迎えます。大学の母体である学校法人聖学院は、今年度で116周年を迎えることとなります。明治時代にアメリカから布教の願いをもって日本に渡ってきた男女の宣教師たちによって学院の基礎が築かれました。キリスト教プロテスタントの精神によって建てられた学院の一員である聖学院大学も、その建学の精神はキリスト教のうえに建てられています。大学もまた「神を仰ぎ 人に仕う」という建学の精神を掲げています。今年入学の皆さんは、歴史に新たな4年を加えることになります。皆さんには清新な気持ちで聖学院大学での学びと学生生活に取り組んでいただきたいと願います。皆さんが、それぞれに心に描いた抱負や夢を実現できるよう、私たち教職員も心を一つにして、良き教育環境をつくっていこうという決意を新たにしております。

皆さんは、大学入学で、ひとつ広い世界に出たこととなります。皆さんの描く未来、希望に向かって自分を作り上げるためには、学校という制度の中で、学びに専念できる最後の4年間のチャンスです。現実の私と、心に描く未来や希望とを一つにしていくことが今後の4年間の課題と言っていいでしょう。その意味で大きく羽ばたいていった諸先輩のように、4年後のあなたの姿を楽しみにしています。入学した皆さんおひとりおひとりが、今この時に抱いておられる大学進学の目的・動機あるいは強い希望を維持し育てて、大学での生活を送って欲しいと心から願います。
大学では、高校生あるいは日本語学校の「生徒」としての在り方から、「学生」として新たなステージに立つこととなります。私たちが望むものは、なによりも学びを通して、自らの言葉を持ち、自らの言葉で語ることのできる自立した人間としての太い幹を、この大学生活で創って欲しいということです。小手先の成果ではなく、成果を生む根幹の人格を形成し、高め強めることを願っています。

高校までの学びは、その多くを既成の知識に習熟することでした。大学の学びは、既成の知識を比較し、総合して新らしい知識に到達するプロセスを学ぶということが加わります。「真理はあなたたちを自由にする」(聖書:ヨハネによる福音書 8章 32節) という聖書の言葉があります。大学で皆さんは比較的多くの自由を得ますが、一人で気ままという意味ではありません。幅広い教養を身につける基礎教育、専門的知識を深め考える姿勢を育てる専門教育、卒業後の進路選択への準備となるキャリア教育、学生自らが積極的に参加していく授業形態や、丁寧な少人数による聖学院らしいゼミ、こうした学びを仲間たちとともに深めることとなります。私たちの掲げるキリスト教的理想は「神を仰ぎ 人に仕う」とともに「良き隣人となる」という大学のモットーに示されています。私たちは、皆さんがその精神を、学びや学生生活を通して具体化し、多様な他者と共生する能力を身につけた自主的で自立した人となり、与えられた場でリーダーシップを発揮できる人格の力を持った学生に育ってほしいと考えています。

これから大学で学ぶ知識の領域は、時代や歴史を越えて、人間や人間の社会が直面した課題に向き合うことから成り立ってきた人間の知的活動の普遍性に深く関わるものです。人間とは何か、また人間を超える存在とは何かをめぐる叡智の結晶です。そうした叡智は、人間存在の根底、人格の根底に関わりその堅固な土台をつくる当のものです。
また大学で学ぶ知識の在り方の特徴として、探究の成果や姿勢を、同じく真理を求める他者と共有するということがあります。真理にむかう道筋は学部学科によって異なっていても、人間とは何かという問い、人間に関わる真理への歩みという意味では、一つであります。大学の学びを通して、「すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ。」(聖書:マタイによる福音書 7章17節)という言葉の意味、そして学びの土台というべき人格というものをどう涵養するかということを考えていただきたいと願います。

さて今年もアジアを中心とした諸外国から、多くの留学生を迎えました。様々な国籍や文化的伝統を背景に持った皆さんを迎えることは、私たちの大いなる期待でもあります。このキャンパスで、皆さんひとりひとりの背景を生かしながら、国籍や文化の違いを越えて、ともに真理の探究に向かっていただきたいと願います。
多文化社会への対応、グローバリズムの変化とそれへの対応が、今の社会の課題でもあります。この聖学院大学のキャンパスを、ひとつのグローバリズムの良き実践の場としていただき、日本人学生との交流の場において、多くのことを教えていただきたいと思います。聖学院大学が「真理はあなたたちを自由にする」(聖書:ヨハネによる福音書 8章 32節)という言葉の真の実践の場となることを願っています。
グローバリズムという言葉を使いました。国境を越えての新型コロナウイスルの蔓延は、大切なイニシエーションとなるべき入学式の中止のやむなきに至りました。グローバリズムは、人間社会に良きものももたらしますが、また利益とならないことももたらしています。新型コロナウイルスの問題は後者です。しかしまたグローバリズムの進展があるからこそ、その克服への世界の協働的努力もできるのです。必ずや、人間に与えられた叡智はこの問題を克服するでしょう。こうしたグローバリズムの在り方、プラス面そしてマイナス面の洞察もまた大学での学びによって得られ深められることとなるでしょう。今やこの新たな脅威の克服に力を尽くすのは大学の社会的責務です。

ここまで、学びという言葉を使ってきましたが、これは書物やテキスト、机に向かう知識の学びに限りません。授業やゼミ以外にも、文化サークル、運動系サークル、キリスト教団体の活動、ボランティア活動など多くの団体の活動があります。自主的な皆さんの選び取りの中で、いわゆる勉強には限らない学生生活の様々な側面への、皆さんなりの自由な関わりもまた、学びであります。

あらためて皆さんご入学ご進学おめでとうございます。これからの学生生活が実り多いものとなりますように祈るとともに、教職員一同、皆さんとともに歩んでいきたいと気持ちを新たにしています。またできるだけ近いうちに直接お目にかかり、皆さんと直に接し話しをしたい、そうした日が来ることを願いつつ、お祝いの言葉とします。

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