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「目を覚まして、時を待つ」
「気をつけて、目を覚ましていなさい。
その時がいつなのか、
あなたがたには分からないからである。」
(マルコによる福音書 第13章33節)
社会や個人がさまざまな困難に直面している時代。これからの大学生活や将来に不安を抱えている人も多いと思います。しかし、皆さんが抱いている焦りや先入観を少しだけ押さえてみてください。今はまず大学は学びの場だということを自覚し、政治学や経済学、人文学、あるいは児童学を通して、現代特有の事柄を多角的、多面的に考えてほしいと思います。激変する時代のただなかを生きる私たちですが、決して変わらないものがあります。たとえばそれは人間の自由であり、一人ひとりのかけがえのない価値や尊厳。変えるべきもの、変わるべきではないものを見極める力を、この聖学院大学で身につけてください。
聖書のなかに「目を覚ましていなさい」というキリストの言葉が何回か出て来ます。「気をつけて、目を覚ましていなさい。その時がいつなのか、あなたがたには分からないからである」。大学での学びは即効薬ではありません。時間をかけて、やがてその効き目がわかってくるものです。積極的に多くを学び、友と集い、ゼミの仲間と議論する。先生と語らい、課外授業に打ち込む。そうしたなかで、本当に自分の求めているものが分かってくるはずです。そして、自分の求める課題と、人の求めている課題が一致した時、皆さんはその輝きが社会や仲間と切り離れたところにあるのではなく、他者とともにある時に初めて輝くことを知るでしょう。
その時、あなたに訪れるわずかな変化。より大きな成熟、飛躍に向かうきっかけとなる何かの訪れ。それが何であるのか、いつなのかわかりません。それに気づくには、丁寧に、しっかりと日々を過ごすこと。だから、注意深く目を覚まして、目を向けていてください。
その時を待ちながら。…ずっと、輝くために。
学長プロフィール
【清水正之 略歴】
1947年 神奈川県横浜市生まれ
- 学歴
1971年6月 東京大学文学部倫理学科卒業
1974年3月 東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻
修士課程修了
1977年3月 東京大学大学院人文科学研究科倫理学専攻
博士課程単位取得退学 - 学位
1974年3月 修士(文学、東京大学)
2013年3月 博士(人文科学、お茶の水女子大学) - 主な職歴・役職等
1983年4月 三重大学人文学部助教授
1990年4月 三重大学人文学部教授(~1995年3月)
1995年4月 東京理科大学工学部教授(~2008年3月)
2008年4月 聖学院大学人文学部教授
2009年4月 聖学院大学大学院アメリカ・ヨーロッパ文化学研究科教授
2010年4月 聖学院大学人文学部日本文化学科長(~2012年3月)
2012年4月 聖学院大学人文学部長(~2015年3月)
2014年4月 聖学院大学副学長(~2015年3月)、
聖学院大学大学院アメリカ・ヨーロッパ文化学研究科長(~2016年3月)
2015年4月 聖学院大学学長 - 学外の役職等
日本倫理学会評議員、東京大学学生キリスト教青年会理事 - 専門分野
倫理学・日本倫理思想史 - 主要著書
・『日本思想全史』(ちくま新書)
・『日本の思想』(放送大学)
・『国学の他者像─誠実と虚偽』(ぺりかん社)
・『岩波講座 日本の思想 第四巻』(共著、岩波書店)
・『思想間の対話─東アジアに おける哲学の受容と展開』(共著、法政大学出版会)
・『「おのずから」と「みずから」のあわい』(共著、東大出版会)
・『教会と学校での宗教教育再考─<新しい教え>を求めて』(共著、オリエンス宗教研究所)
・『共生と平和の道─報復の正義から赦しの正義へ』(共著、春秋社)
他著書・論文多数。