報告レポート:復興支援ボランティアスタディツアー「サンタプロジェクト5」

復興支援ボランティアチームSAVEメンバーによるレポートをご紹介します。

2015年度「サンタプロジェクト5」ツアー報告

聖学院大学復興支援ボランティアチーム【SAVE】のプロジェクトリーダーの2年の木伏です。
大学が主催するボランティアスタディツアー「サンタプロジェクト5」で、12月4日(金)~6日(日)にかけて岩手県釜石市に行ってきました。毎回と同様に、学生とボランティア活動支援センターの職員が会議を重ねてプロジェクトは作り上げられています。プロジェクトリーダー4人が中心になり、自分達にできることは何かを考えながら企画を作ってきました。遅くなりましたが、これからそのご報告をしていきます。

開催日時: 2015年12月4日~6日

プログラム内容

  • 釜石市の見学
  • 郷土料理作り
  • みんなでかだっぺし(トークフォークダンス)
  • こどもクリスマス会
  • 仮設清掃&焼きいも

サンタプロジェクトはボランティアスタディツアーの中で一番最初に行われたプロジェクトであり、今回5回目という節目を迎えました。聖学院大学はキリスト教大学であり、クリスマスを大切にしています。

事前学習会

毎回大学出発する前に、震災の日、釜石で何が起きたのかをうつした映像を見た後、グループになって見て感じたことや考えたことを話し合います。また、今回はボランティア関係の映像も見ました。全国にまだまだボランティアセンターが少ないことや大学間でネットワークを通じて情報交換や意見交換をして復興について考えていることを知りました。

そして学生からは、ツアーでお世話になっているボランティア団体の説明がありました。その中にサンタプロジェクトでお世話になっている荒川区傾聴ボランティアグループ「ダンボの会」のお話がありました。ダンボの会の皆さんは2012年から釜石市にお届けするニット帽を編んでくれています。今年は126個のニット帽を編んで下さり、私たちの方で釜石の方々にお届けをしました。そして児童学科の坂本先生から子どもとの接し方について教えていただきバスに乗り込みました。

市内見学

みんなが起きた頃釜石に到着し、一番最初に向かった場所は「唐丹町津波記憶石」です。バス内で学生が石碑について説明をしました。この石碑は唐丹町の小学生、中学生、大人の計95人によって書かれた未来に向けた教訓となるメッセージが刻まれている場所です。そして到着した頃、朝日が見えてとてもきれいでした。

次に向かった見学地は釜石市役所近くの高台です。ここからは三陸ひとつなぎ自然学校の伊藤さんがガイドをしてくださいました。あの日この高台には何十人もの人が避難をしました。釜石港が見え、NHKの番組で放送された場所です。あの日の状況を話しながらガイドをしてくださいました。また高台に上る時の階段の手すりが折れ曲がっていて、津波の怖さを感じました。高台を見学した後、伊藤さんも一緒にバスに乗り、大槌町に向かいました。大槌町は釜石市の隣にある町です。バスの中で釜石市と大槌町の今の状況や問題になっていることなどをお話してくれました。そして向かった場所は旧大槌町役場です。あの日役場の職員さんも犠牲になった場所でもあり、今現在、建物を残すか残さないかの議論をしているというお話をお聞きしました。


郷土料理作り

「食の匠」と呼ばれる郷土料理研究会のお母さん方に郷土料理を教えていただきました。毎回「山のお母さん」と呼ばれる方と作るのですが、今回は「海のお母さん」とも加わり、総勢9人のお母さん方から学びました。今回のメニューは五目おこわ、あら汁、かまだんごでした。生きていくためには食を大切にしなければいけないことや、御飯を通して、食べることに感謝をしなければいけないことを改めて学びました。


みんなでかだっぺし(トークフォークダンス)

釜石の方々と1対1で話をしたいという目的で企画されたトークフォークダンス。トークフォークダンスというものは、内側と外側でそれぞれ円を作って、内側と外側の人達が向かい合って座ってファシリテーターの方が内側と外側の人にそれぞれいくつかの質問をし、1分間話すというものです。質問の例でいうと「昨日の朝ごはんは何でしたか?」「子供の頃に夢中になっていた遊びは何ですか?」などです。

そして「かだっぺし」という名前は。釜石では「語る」を「かだる」と言われるためこのプログラムの名前がつけられました。1対1で話すことにより、初対面の人とも近距離で話すことができたり、普段とは違う交流の方法でとても新鮮でした。また集会場内に笑い声が広がり、とても楽しいひとときを過ごしました。


振り返りの会

毎回行う振り返りの会で今回の問いかけは「ツアーを通して感じたこと・気づいたこと」「もっと知りたかったこと・学びたかったことは何か?」「被災地の復興のために自分たちができることは何か?」「この悲劇を繰り返さないために、自分たちのまちで出来ることは何か?」の4つでした。新しい問いかけも取り入れてグループごとにシャッフルしながら振り返りました。振り返りの会では否定や批判をせずに行うので素直な自分の考えを言える場でもあります。これらの問いかけには答えというものはなく、他人から学ぶことも多々あります。


こどもクリスマス会

こどもクリスマス会は郷土料理作りに続いてサンタプロジェクトでは欠かせないプログラムです。年に1回のクリスマスにこどもが楽しんでくれる企画を学生がゼロから作ります。今回は歌・絵本の読み聞かせ・クリスマスのお話・クリスマスツリー作り(工作)・〇Xゲームをやりました。そして最後に学生がサンタとトナカイになってプレゼントを渡しました。遊びに来てくれたこどもの人数は19人で小さいこどもたちが沢山参加してくれました。こどもクリスマス会ではこどもの個性や成長をみることができます。笑顔もたくさん見れて私たち学生も純粋に楽しむことができました。


仮設清掃

12月は大掃除の時期ということで清々しい気持ちで新年を迎えてほしいという想いで企画された仮設住宅の清掃。2班に分かれてワイパー・雑巾・鎌等を使用して、窓拭きや草取りをしました。清掃をしている最中に差し入れを頂いたり、バケツの中にお湯をいれてくれて改めて釜石の人の優しさが伝わってきました。そして釜石高校の高校生3人が参加してくれて一緒に清掃をしました。終わったあとはとても達成感があり、怪我もなく体調も崩さずに行うことができました。


おわりに

今回で5回目となったサンタプロジェクト。新たなプログラムを企画することで学生と釜石の方々のあいだに新たな発見や出会い、つながりが増えたと感じました。また、継続的なツアーを企画するにあたり自分たちにできること、やりたいこと、そして地域(社会)に求められていることに沿って企画をすることの大切さを学ばさせていただきました。これからもこのことを大切にしながら企画をたてていきたいと感じました。そして最後に、「サンタプロジェクト5」に携わった方々に感謝の言葉を申し上げます。本当にありがとうございました。長くなりましたが、これで報告を終わります。

 

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