幸せな若者の拠点 聖学院大学
トリニティ教育研究所 本間 勇人
センター入試を行わず、独自の入試制度を作り、社会の中で活躍する多くの卒業生を育ててきた聖学院大学の教育を評価してくださる方は多くいます。今回は、長年、教育機関で教育について深く探求してこられた本間勇人さんに聖学院大学の良さについて書いていただきました。
この20年の大きな変化
1989年、ベルリンの壁が崩壊して、世界のパラダイムの大転換が起きてから20年が過ぎた。新しいことが誕生するときは、紆余曲折するものであるが、日本はバブルがはじけて経済の空白が10年以上続いた。しかし、一方で脳科学の10年という画期的時代が世界を席巻した。
この新しい脳科学は右脳の発見である。それまでは左脳が優位だったが、右脳の創造性こそ21世紀のキーであるということになり、国際社会の産業構造は、軍事力から経済力、経済力から知識情報力へシフトし、第二の産業革命は進んだ。ITと遺伝子工学が、人間の身体内部から生活世界、そして宇宙まで様相をガラリと変えたのである。大消費幸福時代からクリエイティブ・ハピネスの時代がやってきた。
ノートパソコンや携帯電話、メールなど物理的な時空を超える道具のない生活や仕事、研究など今では想像がつかないだろう。冷戦終焉に向けて、当時の若者たちは起業家精神で盛り上がっていた。今日のITインフラやデバイスのイノベーションは、ほとんどすべてが彼らの手によるものばかりだ。
パソコンの父アラン・ケイ、アップルのスティーブン・ジョブス、マイクロソフトのビル・ゲイツ、ソフト・バンクの孫正義らは、自由裁量で仕事に向き合い、仕事と遊びは探究という姿勢で統合し、時空密度が高くなるほど興味と関心を実現できる道を拓いた。その当時フリーターという名称には、古い枠組みを破壊的に創造する自由な雰囲気があった。
自由と希望の格差
しかし、カルト集団の凄惨な事件、9.11のテロ、イラク戦争、リーマン・ショックなどまるで世界の暗闇が支配するような出来事が毎年のように起き、フリーターも希望間格差、ニート、派遣村という用語と同じように元気のない若者たちを象徴する言葉になってしまった。
のびのびと自由に仕事をするより、生活が保障される枠組みの中で勝ち組になるために窮屈な生き方を選ぶようになった。いつの間にか日本の「若者は保守化」していると呼ばれるようになったのである。国際社会では、若者の知こそが人類の幸せのセイフティーネットを創造すると期待されているにもかかわらず。
それもそのはずである。国際社会の知は、自然と社会と精神を縦横無尽に横断するダイナミックな未知の世界をサバイバルする知である。しかし、ベルリンの壁が崩壊した時、日本がとった知の育成は、相も変わらず学習指導要領の知識を正確に覚え込ませることに専念した。それが学力なのだと、このコンサバ学力の育成ばかりに固執した。その最大の象徴が1990年以降実行されたセンター試験である。
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