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ゴジラとコーラ
ゴジラとコーラ
 

 私は、休日によくテレビの映画を観る。
今年の春は、ゴジラ映画、全30作品一挙放送、というチャンネルがあり、かなりの時間、昔のゴジラ映画を懐かしく観た。観ているうちに気がついた。そこには変貌するゴジラがいたのである。
 最初は不気味で底知れぬ怖さがあったゴジラが、時代とともに、かわいらしくなったり、人類の味方になったりするのである。

  私はなぜかゴジラの変化を見ながら、コーラを思い出していた。
コーラもある時期、影のある飲み物だった。体に害があるかもしれないがあえて飲むような飲み物だった。悪の世界を隠し持つかのような不思議な魅力があった。それが、時間とともに、カロリーオフになったり、特保になったりしたのである。コーラの変貌も著しい。

  悪役が良い役に変貌することは歓迎すべきかもしれない。しかし、悪役時代に持っていた(無自覚に果たしていた)役割やパワーを、 私たちは、別のところで探したりするのである。

  あるいはもう、口から炎を吐くことも、渇いたのどに炭酸を一気に流し込むことも、そうは要らなくなったのかもしれない。

(by けい)


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