> 教員リレーエッセイ一覧に戻る
「ありのまま」の私ってなんだろう。
「ありのまま」の私ってなんだろう。
 

 社会現象にもなった映画「アナと雪の女王」。主題歌「Let It Go」は「ありの~ままの~姿見せるのよ~」と歌い上げ、これまた大ヒットを飛ばした。「ありのまま」は、もしかしたら今年一番よく聞いた言葉になるかもしれない。

 となると、この「ありのまま」を街中でもよく聞くことになるのであるが…。先日は、カフェで隣に座ったOL風の女性二人が、「昨日上司に注意されて、その場で泣いてしまった」「いいのよ、悲しかったんだもん、ありのままよ」と会話しており、デパートでは大声で店員にクレームをつけている男性を見ていたカップルが「ありのまますぎる」とつぶやいていた。

 でも、ちょっと待って。「アナと雪の女王」が伝えている、または歌っている「ありのまま」というのは、自分の思うがままに感情を出したり振る舞ったりすることではないはず。アナのお姉さんのエルサを通して、「自分自身を縛り付けるのはやめる。自分が本当に進みたい道を選び、自分の力で歩いていく」という生き方の大切さを伝えているのである。それは決して自分の感情をストレートに外に出すこととイコールではないはずである。

 自分の感情(特に怒りや哀しみ)を自分で感じることはとても大切である。しかし、感じることと、その感情をそのまま外に出し、人にぶつけることは別ものである。振り返ってみたい。私たちは「ありのまま」であると言い訳して、傍若無人に振る舞っていないだろうか。

 自分の感情をきちんと感じ取り、それを必要な時に丁寧に相手に伝えることができる。そして相手の感情もきちんと感じとることができる。それが、自分らしく生きるという本当の「ありのまま」の自分を見つけるヒントになるのである。

(by うた)


> 教員リレーエッセイ一覧に戻る