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心理学のススメ
ギャングエイジイラスト

 よく「なぜ心理学を勉強しようと思ったのですか?」と聞かれます。本当はいくつか理由があるのですが、一番大きかった理由は「人間っておもしろい、もっと人間のこと知りたいと思ったから」です。

 たとえば、目の前にガラスのコップが一つ置かれていたとします。あなただったら、ぱっと何を思うでしょうか?

 ある人は「のどが渇いた。何か飲みたい」と思うでしょう。あるいは「どこで売っているんだろう? 値段はいくらぐらいなんだろう?」と思う人もいれば、「これに花をさして花瓶にしよう」「叩いたらどんな音がするのかな?」「割っちゃいたい!」などと思う人もいるかもしれません。

 こんなふうに、同じ物を見ても人の感じ方、考え方はさまざまですし、同じ人でも状況やその日の気分によっても違うことを考えます。そこが人間とロボットの大きく違うところです。「なぜこんなふうに違うんだろう? 何がその違いを生み出すんだろう? 知りたい!」そう思って、私は心理学を勉強し始めました。

 ところが、心理学は人間の心を学ぶ学問なわけですが、どれだけ勉強しても人間の心にはわからない部分がたくさんあって、何年勉強しても「わかった!」と言うことが出来ないのです。質問が一つでも答えが一つであるとは限りませんし、答えがないということもあります。さらに、こどもの心はもっと不思議で、なぜそういう発想になるのか、どうしてそんなふうに考えるのか、ビックリさせられることがたくさんあって、興味が尽きることがありません。だから飽きっぽい性格の私でも、勉強が続けられたのだと思います。

 「どんな人が心理学を勉強するのに向いているのか?」、いろいろな答えがあると思いますが、その一つは「わからないからおもしろい」と思える人、かもしれません。

 どうですか? 心理学を勉強してみたいと思いましたか?

(by りこ)


●お薦め参考図書
「心理学・入門 --心理学はこんなに面白い」サトウ タツヤ、 渡邊 芳之(著)(有斐閣アルマ) 。

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