聖学院大学│先生インタビュー│POPカルチャーから見る現代若者文化

聖学院大学の先生にインタビューしています。

更新日 2009-03-11 |

POPカルチャーから見る現代若者文化
  ~ホンモノ志向と自己表現のエネルギー~

わび、さび、萌え

◆現代の若者文化はどう動いていますか?

  
【清水】 「声優」「お笑い」「文学」。この3つが現代若者文化の最先端でしょう。
 特に「文学」は、マンガやライトノベル、ケータイ小説を含め範囲が広く、枠組みが急速に変化しています。中でもライトノベルは、少し前まで文字通り軽く見られていましたが、今や本流と言えるほどの力を持っています。

 一方で、『こころ』とか『人間失格』、『蟹工船』がリバイバル・ヒットしている。表紙のデザインに惹かれ小説を「ジャケ買い」する人もいるようですが、明らかに若者を引きつける魅力が「文学」にあるようです。

 そこから見えてくるのは、言語情報や文字情報に対する受け入れ能力の高さです。マンガ部門で人気の高い『ONE PIECE』や『NANA』などは文字数が多く、読むのは疲れるはずなのに、耐久能力も高いですね。『20世紀少年』が『21世紀少年』として完結するまで全24巻読破して、その謎を理解し、なおかつ劇場版映画と比較するエネルギーは、若いからこそ持てるものでしょう。

 また、最近の学生は分かりやすくストレートなものに飛びつく一方、安易なものを敬遠する「ホンモノ志向」も強い。先ほどの水樹奈々のファンとか、『新世紀エヴァンゲリオン』の宗教性にハマる人とか。その世界に深く入り込めるのは、「ホンモノへのこだわり」を持っているからでしょう。「オタク」は今や市民権を得て、海外での日本文化の評価も「わび、さび、萌え」が定着しつつあります。


キーワードは「コラボ」「参加」

◆「こだわり」がエネルギー源ですか。

  
【清水】 女性マンガ家集団CLAMPの作品分析をし、「ここでキャラクターがクロスオーバーしている」なんて研究発表する学生がいます。『名探偵コナン』の全作品を並べて、矛盾点を指摘する研究もありました。そうした「こだわり」が、今まで隠されていた能力を様々なジャンルで顕在化させています。

 特にアニメ分野。アニメとのタイアップといえば以前は玩具メーカーくらいでしたが、今はキャラクター製品だけでなくゲーム、音楽からパチンコまでコラボが無限に広がっています。アニソンにはCD業界の売上を支え、カラオケを席巻する勢いがある。1つのジャンルに収まらない、新たな表現を要求する力があって、それについて行ける若者がたくさん存在するのも、顕著な傾向ですね。

 受け止めるだけでなく「参加できる」というのも特徴です。ホームページやブログに限らず、自己表現できる道が開かれている。危険な一面もあるけれど、自己表現や参加に対する欲求はすごく高まっていると感じます。送り手と受け手の距離が近いのも、現代POPカルチャーの特色だと言えるでしょう。


大学で研究していいの?

◆先生のゼミはどんな雰囲気ですか?

  
【清水】 小説でもマンガでも、学生に自分が関心・興味を持ったものを選ばせ、調べたり考えたりしたことを発表させています。それまでは趣味であったものも、研究対象にして人前で発表すると、一歩距離を置いて見ることができ、そこに新たな発見があるんです。

 しかも、「これはどういうこと?」と、他のゼミ生から質問がたくさん出ます。これがまた刺激的で、自分が一番詳しいと自信を持っていたのに、イタイところを突かれる・・・次のゼミで「質問にお答えします」となるのですが、傷つくことを怖れずにその障壁を乗り越えることで、必ずステップアップできる。これこそ理想的な勉強方法だと思っているのです。僕自身は、盲目的になりがちな視野を拡げてあげることで精一杯ですが。

 「こんなことを大学で研究していいの?」と驚かれるかもしれません。でも、「授業を受けてモノの見方が変わった」と言ってくれる学生がいるので、これも有りでしょう。 (了/2009年2月20日取材)